学習教材『プログラミング(ベータ版)』
概要:学校の授業での使用を目的とした、教育用プログラミング言語の開発に関するアイデアです.
《前提》
パソコンのディスプレイ上にスピーカーのイラストが表示されているとします.そのスピーカーには、再生ボタンと音量ボタンが付いています.
《授業で生徒が行なうプログラムの目的》
1) 曲を作曲して、このスピーカーから音を出すプログラムを書くこと.
2) その音量を調節するプログラムを書くこと.
この二つとします.また、それぞれは音楽と算数の時間で授業を行なうことを想定しています.
そのようなプログラムが出来る、グラフィカル・インターフェイスを備えたプログラミング言語の仕様について説明します.便宜的に、プログラミングの方向は上から下へ縦スクロールで進むことにします.また、タブを採用します.
《おんがく》
《仕様》
ディスプレイの左側をプログラム作成エリアと呼ぶことにします.右側をファンクションエリアと呼ぶことにします.
ファンクションエリアに、下記の音階と演奏記号を示したファンクションアイコンを表示させておきます.更に、プログラムの始まりと終わりを示す為に、[スタート]、[ストップ]と書いたファンクションアイコンも用意します.
音階:
[ドの音を出す]
[レの音を出す]
[ミの音を出す]
[ファの音を出す]
[ソの音を出す]
[ラの音を出す]
[シの音を出す]
演奏記号:
[D.C.(ダカーポ)]
[D.S.(ダルセーニョ)]
[・$・(セーニョ)]
タグ:
[スタート]
[ストップ]
ファンクションエリアからプログラム作成エリアに、これらのアイコンをドラッグ&ドロップすることでプログラミングを行ないます.ドロップされたファンクションアイコンは自動的に連結されます.
《プログラムの作成例、チャルメラ》
チャルメラを作曲してみます.
まず、プログラムの始まりを示す為に、[スタート]をドラッグ&ドロップします.
次に、[ドの音を出す]をドラッグ&ドロップします.
続いて同じ要領で、[レ][ミ][レ][ド][ド][レ][ミ][レ][ド][レ]とドラッグ&ドロップします.
最後に、終りを示す為に[ストップ]をドラッグ&ドロップします.
これでプログラムが完成です.スピーカーの再生ボタンをクリックすると、曲が流れます.
《プログラムの作成例、ダカーポ》
更に進んだ学習として、前述のプログラムを演奏記号[D.C.(ダカーポ)]を使って書換えて見ます.(注:D.C.はダカーポで、曲の先頭に戻り繰り返す事を示す、演奏記号です)
プログラムの始まりを示す為に、[スタート]をドラッグ&ドロップします.
次に、[ド][レ][ミ][レ][ド]とドラッグ&ドロップします.
その次に、[D.C.(ダカーポ)]をドラッグ&ドロップします.
そして、[レ]をドラッグ&ドロップします.
最後に、終りを示す為に[ストップ]をドラッグ&ドロップします.
これでプログラムが書換えられました.スピーカーの再生ボタンをクリックすると、プログラムの内容は同じなので、最初の作成例と同じ曲が流れます.
《さんすう》
《仕様》
ファンクションエリアに、[スタート]と[ストップ]に加えて、音量の変更を示すファンクションアイコンを表示させておきます.
音量変更:
[音量を大にする]
[音量を小にする]
音量変更(IF文):
[IF(もしスイッチ大がクリックされたら){音量を大にする}]
[IF(もしスイッチ小がクリックされたら){音量を小にする}]
[IF(もしスイッチ消がクリックされたら){音を消す}]
タグ:
[スタート]
[ストップ]
《プログラムの作成例、音量変更》
音量を大にするプログラミングをして見ます.
プログラムの始まりを示す為に、[スタート]をドラッグ&ドロップします.
次に、[音量を大にする]をドラッグ&ドロップします.
最後に、終りを示す為に[ストップ]をドラッグ&ドロップします.
これでプログラムが完成です.音量が大になります.
《プログラムの作成例、IF文》
また更に進んだ学習として、前述のプログラムをスピーカーの音量ボタンをクリックすることにより音量を変えられるように書換えて見ます.
プログラムの始まりを示す為に、[スタート]をドラッグ&ドロップします.
次に、[IF(もしスイッチ大がクリックされたら){音量を大にする}]をドラッグ&ドロップします.
続いて、[IF(もしスイッチ小がクリックされたら){音量を小にする}][IF(もしスイッチ消がクリックされたら){音を消す}]をドラッグ&ドロップします.
最後に、プログラムの終りを示すために[ストップ]をドラッグ&ドロップします.
これでプログラムが書換えられました.スピーカーの音量ボタンをクリックすることで音量を変えることが出来るようになりました.
《おわりに》
プログラミングは、コードを書く学習の前に、まずアルゴリズムの学習をしたら良いと思います.また、スピーカーの代わりに、電池と豆電球にスイッチを連結した電気回路を操作するプログラムを想定すれば、理科の授業に対応できると思います.
―― あとがき ――
投稿サイト「パブー」で公開した作品です.こちらに移植しました.
初出:
「リトルプレス鰯雲03」2016年6月9日発行、2016年6月10日改訂(学習教材『プログラミング(ベータ版)』)