柳田国男『清蔵の兎』
―― まえがき ――
WEB絵本『清蔵の兎』
絵・訳:茜町春彦
原作:柳田国男
概要:「日本の昔話」の中の1話を絵本にしました .原文を一部省略しています.
A Picture Book
"A hare of Mr. Say-tho"
Illustrated and translated by : Akanemachi Haruhiko
Original author : Yanagida Kunio
―― 01 ――
Long long ago, Mr. Say-tho went hiking to a hill together with his friends.
むかしむかし、清蔵は友達と共に山へ遊びに行きましたところが・・・
―― 02 ――
A hare was soundly taking a nap in weeds.
・・・草の中に兎が1匹ぐっすりと昼寝をしていました.
―― 03 ――
"Ah! There is a dead hare in this place," said one of his friends.
ああこんな所に兎が死んでいると、連れの者の一人が言いますと・・・
―― 04 ――
Mr. Say-tho immediately pinched his nose and said, "No wonder the air has been filled with the awful smell."
・・・清蔵は早速、鼻をつまんで、道理で先程からえらく臭いと思っていたと言いました.
―― 05 ――
Soon, the hare was woken by their voices and ran away surprisedly.
そのうちに兎が人の声に目を覚まして驚いて走って行ったので・・・
―― 06 ――
"Oh! It was only taking a nap," the friend said amazedly.
・・・なんだ昼寝をしていたのかと、その友達がびっくりしますと・・・
―― 07 ――
Mr. Say-tho also said, "I didn't know why. I noticed that its ears were moving though."
Since then, people have used the comparison "It is like a hare of Mr. Say-tho" for a made-up story.
・・・また清蔵が口を出して、だから俺も何だか耳が動くようだと思っていたのだと言いました.
それからこの方、いい加減なことを言う人を、清蔵さんの兎のようだと、たとえ言にいうようになりました.
(了)
―― あとがき ――
この本はパブーで公開した電子書籍、英訳昔話「清蔵の兎」を加筆修正したものです.
参考文献:日本の昔話(2005年10月25日36刷 柳田国男著 新潮文庫)