2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧
その花の鎖の端を両手でしっかりと握って静かに湖の底へ沈んで行きました. ―――空の真ん中に懸かったお月様を仰ぎながら・・・ Holding an end of the flower chain by her hands tightly, Memie calmly sank into the bottom of the lake. She was looking …
ミミはオヤと思って辺りを見まわしました. 見ると、ミミは最前のまま湖のふちの草原に突っ伏して、花の鎖をしっかりと抱きしめながら眠っているのでした. 今迄のはスッカリ夢で、待っていたお月様は未だようように昇り掛けたばかりの所でした.そうして湖…
その間を飛び違い入り乱れる数知れぬ夜光虫の光り. それは世界中が金襴になって踊り出すかのようでした. ルルととミミは抱き合ったまま、夢のように見とれていました. その前に数限りない御馳走が並びました. Rays of the countless noctilucas were pas…
湖の御殿の真珠の屋根は、月と星の光りを受けて見る見る輝き始めました. The pearly roof of the Palace of the lake began to shine rapidly reflecting the lights of the moon and the stars. 瑠璃の床、青玉の壁、翡翠の窓、そんなものが皆それぞれの色…
そうして、もしや兄様がそこいらに、いらっしゃりは仕舞いかとソッと呼んで見ました. 「ルル兄さま・・・」 けれども広い御殿のどこからも何の返事もありません. 遥かに遥かに向うまで続いている銀の廊下がピカピカと光っているばかりです. ミミは悲しく…
「あら、ミミちゃん.こんな所で花の鎖を作っててよ.まあ、奇麗な事.そんなに長くして何になさるの」と大勢のお友達がミミの周りに集まって尋ねました. ミミは夜の明けぬ内から花の鎖を作り始めていたのですが、こう尋ねられますと淋しく笑いました. Man…
ただ独りで湖のふちへ来て、真黒く濁った水の底深く沈んでしまいました. Ruroo came to the lakeside alone. And he deeply sank in the black and muddy water. 村の人が心配していた悲しい事がとうとう来たのです. ミミは独りポッチになってしまったので…
その日はちょうどお天気の良い日でした. 地には色々の花が咲き乱れ、梢や空には様々な鳥が鳴いて、眩しいお天道様が白い雲の底からキラキラと輝いていました. 村の人々は、お爺さんもお婆さんも大人も子供も、みんな奇麗な着物を着て、ルルが作った鐘のお…
そうして、ルルとミミのお父さんが身を投げると間もなく、湖は又もとの通りに奇麗に澄み渡ってしまったのでした. それから後、この村のお寺の鐘を造る人はありませんでした. 夜明けの鐘も夕暮れの鐘も、または休みの日のお祈りの鐘も聞こえないまま何年か…
昔、或る国に水晶のような水が一杯に光っている美しい湖がありまして・・・ Once upon a time in a country, there was a beautiful shiny lake filled with crystal water. ・・・そのふちに一つの小さな村がありました. そこに住んでいる人達は親切な人ば…
『柿の葉より7句』"Persimmon's Leaves" 風は何よりもさみしいとおもうすすきの穂 "Nothing is so lonely as the wind," the ears of pampas grass think. からむものがない蔓草の枯れている There is nothing to twine around, and so, a vine has withere…
Once upon a time in a village, there lived a mother and her three children. 昔々ある村に、母と3人の子とが住んでおりました. The mother had the children stay home. And she went to a temple for worship. 母が3人の子に留守番をさせて、寺参り…
むかし肥後国の八幡村で、御社の近くの古池の水をさらえて、池の魚を捕ろうとしたことがありました. Long long ago, people of Yawata village of Higo province tried to catch the fish of the old pond near the village shrine. So, they were drawing …