シリーズ
「時空航行する平行宇宙船」時空振動が発生した平行宇宙船に衝撃が走る 「振動で転げる乗組員」ピッピーピッピー・・・船内に警報音が鳴り響く 「操縦室(船長と航海士)」「おぉ、おぉ」 「う~ひゃ~」 船長と航海士が叫び声を上げる 「操縦室(船長と航海…
待ちに待った大晦日が来た.夜の十二時過ぎにやっとどうやら仕事の片もついたので、私は、自分の荷物を纏めたり、髪をとかしつけたりして、お訣れの挨拶をみんなの前にした. The long-awaited New Year's Eve came. I finally finished my duties. It was p…
仲木砂糖店の生活振りはかなりだらしのないものだった. 学校に通う伸ちゃんが朝の7時に家を出なければならないので、私達は朝の5時から起きてその用意をしなければならなかったが、伸ちゃんが学校に行って小一時間も経った頃若夫婦が起きてくる、10時頃…
黙然として、思い思いのことを考えながら、私達はまた歩き出した.そして、上野の不忍の池の畔に来たときに自然と二人の足は停まった. We started to walk again. Keeping silent, we each thought about our own thing.We came to the vicinity of Shinoba…
11月30日、忘れもしない、その日の晩だった.しばらく顔を見せなかった伊藤が、ひょっくりやって来た. が、いつもに似ず、伊藤の顔色がわるく元気もなかった.どうしたのだろうと心配しながら、私は急いで家の用をすました. そしていつものようにまた…
ーーー或る競技場の前ーーー 「皆さん、こんにちは.私達は、平行宇宙のコロナ星からやって来ましたコロナ星人です.私は浜田光子と申します.隣にいるのは、秘書の淀屋橋です」 秘書の淀屋橋で御座います.私どもが何故こちらの宇宙に参ったか、と申します…
その頃の私は、学校という重荷をちょっと肩からおろして置いただけに、生活には割合楽であった. で、今までとは反対に、私が伊藤を助けることの方が多くなった.心づけなどに貰ったお金が一円でも二円でも溜まると私はそれを伊藤にやった. そうでない時に…
伊藤は三日にあげず店に来て、信仰友だちである店員の山本や家人の誰彼に、宗教上の話をして帰って行くのであった. が、その頃は試験が近づいているのにパンに追われて勉強も碌にできないことをかなり苦痛に病んでいるらしい様子であった. Mr. Ito frequen…
「ありがとうございます.私にとっては、それに越したことありません.けれど」と私は、この伊藤のことを話して「そうすると伊藤さんに背くこととなるのが心苦しいんで・・・」と渋った. "Thank you! That's best for me. But ..." I told her about Mr. It…
弟の銀ちゃんは二十四、五だったが、家じゅうで一番几帳面なしかしケチな男だった. まだ独身で、家でぶらぶらしていたが、人のいないところでは兄嫁に抱きついたりキスをしたりして、小心な奥さんを困らせていた. 妻にはどうしても兄嫁以上の美人をもらう…
秋原さんの世話で私は、浅草聖天町の仲木という砂糖屋に奉公することとなった. この家には五十四、五になる夫婦と、若夫婦と、若夫婦の子供が2人に、弟が2人のほかに、店員と女中とが各々一人ずつ、それに私を混ぜて都合11人の家族が住んでいた. I got…
こうして私は、神に仕え、人に奉仕した. けれど私はその酬いを得なかった. 私はもう三日も食べないでいた.そこでまた新しい職業を求めてまわったけれど、その職業すらも与えられなかった. Thus, I served God and people. But no reward was given to me…
簡易食堂で私は、時たま伊藤と一緒になった. 伊藤はやはり、夜間だけ車夫をしていたが、あがりは少なかった.それでも私の困っている時には自分の食を減らして20銭30銭と私に持って来てくれた. I often saw Mr. Ito at the snack bar and shared a tab…
だがそれにもかかわらず私はもうどうにもこうにもならなくなっていた. そこでふと思いついて、冬の衣類を2、3枚風呂敷に包んで質屋の暖簾をくぐった. But nevertheless, I was living in extreme hardship. Then, an idea unexpectedly came to me. I wr…
そして、かねて硝子戸越しに目星をつけておいた団子屋へ飛び込んで、2皿の餅菓子を食べた. 朝から1食もとらない空腹を充たすには不足だったが、でも、それで幾分かは元気づいた. After that, I ran into a tea parlor. I had my eye on the parlor befor…
けれど、品物を取り出すひまもなく、きっぱりとツッケンドンに私は断られた. 「せっかくですが、いま手がふさがっていますから」 手が塞がっている? 物もらいと私は間違えられたのだ! But I had no time to take the goods out. She rejected me. "Sorry!…
そこで今度は少しばかり残った商品をもとでに行商を始めてみた.だが、これはまた新米の私にはこの上もなく困難な仕事であった. 毎日、学校から帰ってくるとはすぐ、袴を脱いで帯に締めかえ、商品を抱えて出かけるのではあるが、さていよいよとなるとどうし…
引き上げは大概10時頃だった それから私は湯島まで12、3町をテクテクと歩いて帰るのであるが、家に着くのはほぼ11時過ぎだった.そしてその頃にはもう大抵の場合、家のものは戸を締めて寝ているのだった. I usually closed my stall at around 10 o'…
隣のお爺さんは面白い親切な人だった. いつも酒で顔を赤くほてらしていたが、酒の気がきれると「姐さんすまないがちょっと見ていてくんな」と私に自分の店を任しておいてどこかへ姿をかくした.その間に爺さんは近くの酒屋へ駈け込んで、コップ酒をあおって…
伊藤は私に、湯島の新花町に間を借りてくれた. それから、彼の知り合いの粉石鹸屋から3、4円分の品物を仕入れてくれた.私は早速、その粉石鹸を持って夜の露店商人に変わった. Mr. Ito arranged a rental room for me. It was in Shinhanacho town of Yu…
私は何だか、じっとしてはいられないような気がして来た. 何かしら私の頼るべきものがあって、それが私を手招きしているように私には思われた.そうして私は、何だか訳の分からぬ力に引きつけられて行くのであった. Somehow, I began feeling that I could…
私は聖書なんか読むどころでなかった. 不安な思いばかりが胸の中を往来した. 穴の中へでも引き込まれるような心細さがヒシヒシと迫ってきた. I couldn't bring myself to read the Bible. My anxiety just kept growing in my heart. Loneliness was comi…
白旗新聞店を出たのは、もう夕方であった. I left Shirahata newspaper sales agent. The evening had already come. さていよいよ、そこを出はしたものの、出るだけで準備がまだ出来ていないうちに無理に追ん出されたのであるから、第一その行き場所がなか…
《はじめに》 対象読者:整数論(素数)に興味のある人 与えられた数が素数であるかどうかを判定するための素数判定式を考案したので紹介します. ただし、2と3は判定できません.取り敢えず、この二つの素数は例外とします.まあ、今更2と3が素数かどう…
その花の鎖の端を両手でしっかりと握って静かに湖の底へ沈んで行きました. ―――空の真ん中に懸かったお月様を仰ぎながら・・・ Holding an end of the flower chain by her hands tightly, Memie calmly sank into the bottom of the lake. She was looking …
ミミはオヤと思って辺りを見まわしました. 見ると、ミミは最前のまま湖のふちの草原に突っ伏して、花の鎖をしっかりと抱きしめながら眠っているのでした. 今迄のはスッカリ夢で、待っていたお月様は未だようように昇り掛けたばかりの所でした.そうして湖…
その間を飛び違い入り乱れる数知れぬ夜光虫の光り. それは世界中が金襴になって踊り出すかのようでした. ルルととミミは抱き合ったまま、夢のように見とれていました. その前に数限りない御馳走が並びました. Rays of the countless noctilucas were pas…
湖の御殿の真珠の屋根は、月と星の光りを受けて見る見る輝き始めました. The pearly roof of the Palace of the lake began to shine rapidly reflecting the lights of the moon and the stars. 瑠璃の床、青玉の壁、翡翠の窓、そんなものが皆それぞれの色…
そうして、もしや兄様がそこいらに、いらっしゃりは仕舞いかとソッと呼んで見ました. 「ルル兄さま・・・」 けれども広い御殿のどこからも何の返事もありません. 遥かに遥かに向うまで続いている銀の廊下がピカピカと光っているばかりです. ミミは悲しく…
「あら、ミミちゃん.こんな所で花の鎖を作っててよ.まあ、奇麗な事.そんなに長くして何になさるの」と大勢のお友達がミミの周りに集まって尋ねました. ミミは夜の明けぬ内から花の鎖を作り始めていたのですが、こう尋ねられますと淋しく笑いました. Man…