茜町BOOKS

絵本とかエッセイとか

シリーズ

WEB絵本「ルルとミミ(夢野久作)」第4巻

ただ独りで湖のふちへ来て、真黒く濁った水の底深く沈んでしまいました. Ruroo came to the lakeside alone. And he deeply sank in the black and muddy water. 村の人が心配していた悲しい事がとうとう来たのです. ミミは独りポッチになってしまったので…

WEB絵本「ルルとミミ(夢野久作)」第3巻

その日はちょうどお天気の良い日でした. 地には色々の花が咲き乱れ、梢や空には様々な鳥が鳴いて、眩しいお天道様が白い雲の底からキラキラと輝いていました. 村の人々は、お爺さんもお婆さんも大人も子供も、みんな奇麗な着物を着て、ルルが作った鐘のお…

WEB絵本「ルルとミミ(夢野久作)」第2巻

そうして、ルルとミミのお父さんが身を投げると間もなく、湖は又もとの通りに奇麗に澄み渡ってしまったのでした. それから後、この村のお寺の鐘を造る人はありませんでした. 夜明けの鐘も夕暮れの鐘も、または休みの日のお祈りの鐘も聞こえないまま何年か…

WEB絵本「ルルとミミ(夢野久作)」第1巻

昔、或る国に水晶のような水が一杯に光っている美しい湖がありまして・・・ Once upon a time in a country, there was a beautiful shiny lake filled with crystal water. ・・・そのふちに一つの小さな村がありました. そこに住んでいる人達は親切な人ば…

WEB個展「種田山頭火(柿の葉、銃後)」

『柿の葉より7句』"Persimmon's Leaves" 風は何よりもさみしいとおもうすすきの穂 "Nothing is so lonely as the wind," the ears of pampas grass think. からむものがない蔓草の枯れている There is nothing to twine around, and so, a vine has withere…

WEB絵本「お天道さん金ん綱」

Once upon a time in a village, there lived a mother and her three children. 昔々ある村に、母と3人の子とが住んでおりました. The mother had the children stay home. And she went to a temple for worship. 母が3人の子に留守番をさせて、寺参り…

WEB絵本「御辛労の池」

むかし肥後国の八幡村で、御社の近くの古池の水をさらえて、池の魚を捕ろうとしたことがありました. Long long ago, people of Yawata village of Higo province tried to catch the fish of the old pond near the village shrine. So, they were drawing …

WEB絵本「雀と啄木鳥」

昔の昔、雀と啄木鳥とは二人の姉妹であったそうです. 親が病気でもういけないという知らせの来た時に、雀はちょうどお歯黒を付けかけていましたが、直ぐに飛んで行って看病をしました. それで今でも頬っぺたが汚れ、嘴も上半分だけはまだ白いのであります…

WEB絵本「海月骨無し」

大昔、竜宮の王様の御妃がお産の前になって、猿の肝が食べて見たいという、珍しい食好みをなされました. 竜王はどうかしてその望みをかなえて遣りたいものと、家来の亀を呼んで、何かよい考えはあるまいかと尋ねられました. Long long ago, the queen for …

WEB絵本「夢を買うた三弥大尽」

むかし日向国の三弥という大金持ちが、まだ貧乏な旅商人であった時、夏の日に仲間の者と二人づれで、或る山路を越えて寂しい高千穂の村へ入って行きました. Once upon a time in Hyuga province, there lived a millionaire. His name was Mitsuya. When Mr…

WEB絵本「春の野路から」

昔々ある所に、貧乏な一人の爺が住んでいました. 毎日毎日働いてやっと暮らしを立てていました. Once upon a time, there was a poor Old Man at a place. He worked everday and scraped a living. 今日は卯月の八日だから、一日だけ家でゆっくりと休もう…

WEB絵本「蟹淵と安長姫」

むかしむかし隠岐島の元屋という村に、年とった一人の木こりがありました. Once upon a time, there was an Old Woodman in Motoya village of Okinoshima island. 或る日、安長川の奥に入って、滝の後ろの山で木を切っていましたが・・・ One day, the Old…

WEB絵本「牛方と山姥」

昔々ある一人の牛方が、沢山の塩鯖を牛の背に積んで山の在所へ売りに行く途中・・・ Long long ago, an Ox Driver was going to a countryside beyond hills for selling a lot of salted mackerel. The mackerel had been packed on his ox. ・・・高い大き…

WEB絵本「猿と蟇との餅競走」

Long long ago, a Monkey encountered a Toad in a hill. 昔、ある所の山の中で猿とヒキガエルが出逢ったそうであります. The new year's holidays were coming soon. Spirited sounds of pounding steamed rice were heard from several places in the vil…

WEB絵本「電報(黒島伝治)」後編

Gensaku received a tax notice from the village office. But the 28th of the month was Sunday. So, he drew money from the bank on the 29th and went to the village office to pay the tax. 村役場から、税金の取り立てが来ていたが、丁度二十八日が…

WEB絵本「電報(黒島伝治)」中編

The exam finished. In the day when he was supposed to be back, Okino went to meet him at the station. 試験がすんで、帰るべき筈の日に、おきのは、停車場へ迎えに行った. There were a maid of the headman's family, the wife of a soy-sauce facto…

WEB絵本「電報(黒島伝治)」前編

"Gensaku's son has gone to a city." "His son will take an entrance examination for a public junior high school." Such a rumor was spreading all over his village. 源作の息子が市の中学校の入学試験を受けに行っているという噂が、村中にひろまっ…

WEB絵本「夕ぐれ」

The dusk of a day of a vivid season reminded me of my friendship.水々しい季節の夕ぐれが、友情を呼んだ. I went to see the friend; On the way I passed though a snaky slope. その友に逢いに行く途中、くねくねうねった坂を通った. Green leaves w…

WEB絵本「思想は一つの意匠であるか(萩原朔太郎)」

日英翻訳 題:「思想は一つの意匠であるか」 鬱蒼としげった森林の樹木のかげで ひとつの思想を歩ませながら 仏は蒼明の自然を感じた どんな瞑想をもいきいきとさせ どんな涅槃にも溶け入るような そんな美しい月夜をみた. 「思想は一つの意匠であるか」 仏…

WEB絵本「静物(萩原朔太郎)」

日英翻訳 「静物」静物のこころは怒り そのうわべは哀しむ この器物の白き瞳にうつる 窓ぎわのみどりはつめたし. "A Still Life"The still life gets angry in its heart. Its surface looks sad. The white pupil of this china reflects that. That is th…

WEB絵本「猫(萩原朔太郎)」

日英翻訳 「猫」まっくろけの猫が2ひき、 なやましいよるの屋根のうえで、 ぴんとたてた尻尾のさきから、 糸のようなミカヅキがかすんでいる. 『おわあ、こんばんは』『おわあ、こんばんは』『おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ』『おわああ、ここの家の主人は…

WEB絵本「死(萩原朔太郎)」

From below the earth in sight, 見つめる土地の底から、 His weird and wonderful hands pop up; 奇妙きてれつの手が出る、 His feet pop up; 足がでる、 His head pushes up. くびがでしゃばる、 Ladies and gentlemen: What on earth is he doing? What a…

WEB絵本「金子文子(何が私をこうさせたか)父よ、さらば」

"If you leave this home now, our relatives will think that I picked on you and threw out you. Please have a bit of patience for a while," my aunt said. She stopped me as if she asked me. 「お前に今うちを出られては、いかにもワシが苛め出しで…

WEB絵本「あの町この町」

日英翻訳 「あの町この町」 あの町この町 日が暮れる 日が暮れる今きたこの道 かえりゃんせ かえりゃんせ おうちがだんだん 遠くなる 遠くなる今きたこの道 かえりゃんせ かえりゃんせ お空にゆうべの 星が出る 星が出る今きたこの道 かえりゃんせ かえりゃ…

WEB絵本「しゃぼん玉」

日英翻訳 「しゃぼん玉」しゃぼん玉とんだ 屋根までとんだ 屋根までとんで こわれて消えた しゃぼん玉消えた 飛ばずに消えた うまれてすぐに こわれて消えた 風風吹くな しゃぼん玉とばそ " Soap bubbles "Soap bubbles flew. They flew up to the roof. The…

WEB絵本「われは海の子」

日英翻訳 「われは海の子」我は 海の子白浪の さわぐ いそべの 松原に 煙 たなびく とまやこそ 我が なつかしき 住家なれ "I am a born seaman"I am a born seaman.My dear old residence is that humble cottage trailing smoke above the pine woods along…

WEB絵本「赤い鳥小鳥」

日英翻訳「赤い鳥小鳥」赤い鳥小鳥、なぜなぜ赤い、赤い実を食べた白い鳥小鳥、なぜなぜ白い、白い実を食べた青い鳥小鳥、なぜなぜ青い、青い実を食べた "That's a little red bird." That's a little red bird.Why? Why is it red?Because it ate red berri…

WEB絵本「赤い靴」

日英翻訳「赤い靴」赤い靴 はいてた 女の子異人さんに つれられて 行っちゃった 横浜の 波止場から 船に乗って異人さんに つれられて 行っちゃった 今では 青い目に なっちゃって異人さんの お国に いるんだろう 赤い靴 見るたび 考える異人さんに 逢うたび …

WEB絵本「鉄道唱歌」

日英翻訳「鉄道唱歌」汽笛一声、新橋を はや我が汽車は離れたり愛宕の山に入り残る 月を旅路の供として 右は高輪泉岳寺 四十七士の墓どころ雪は消えても消え残る 名は千載の後までも "A song of railways"After a steam whistle, our train has already depa…

WEB絵本「鳩」

ぽっぽっぽ 鳩ぽっぽCoo, coo, coo. Doves coo. 豆がほしいか そらやるぞYou want peas, don't you? Here they are! みんなでなかよく 食べに来いCome and feed well together. ―― あとがき ――WEB絵本「鳩」絵と訳:茜町春彦 「鳩」作詞作曲者:不詳明治…