茜町BOOKS

絵本とかエッセイとか

素数について「P=6n+1」

《対象読者》
大学で整数論情報理論などを履修した人、若しくは、素数に興味のある人.


《本稿の目的》
2と3を除外すると、素数の分布に周期性が現れるようです.

具体的には素数を P=6n+1 の形に表わし、さらに n を整数の領域に拡張すると周期性らしきものが現れると云うことです.

そして、その周期性を用いて、その P=6n+1 の集合の中から合成数を除外すれば、素数計算関数 π(P) の極限値を正確に求めることが多分できるだろうと思います.

そのアイデアの提供が目的です.

《表1》

f:id:akanemachi:20190420170045p:plain

 


《P=6n+1型の素数の n を整数に拡張する》
全ての素数は P=6n+1 または P=6n+5 の形に表わすことが出来ます.(表1を参照)

ただし、この場合の n はゼロと自然数です.また、素数の2と3は例外として除外します.

しかし、式が二つあると扱いずらいので、一つの式ですべての素数を表す方法を考えてみます.
(くどいようですが素数の2と3は例外とします)

まず、n を負の領域まで拡張します.つまり n は整数と云う事です.
( n= ... -4,-3,-2,-1,0,1,2,3,4 ...)

そして本稿では、 P=6n+1 の方を利用します.
(つまり P=6n+5 は不要と云う事です.逆に P=6n+1 を不要として P=6n+5 の方を用いても同じことが出来るのですが、P=6n+1 の方が数式の処理が簡単なので P=6n+1 の方を選びました)

すると、n が負の領域では-5とか-11とか-17などとマイナス記号が付いてしまいますが、プラスの意味であると心の中で思い込むと云う事です.例えば-5はマイナス記号が付いていても5であるとすると云う事です.

絶対値を取ればマイナス記号を外すことが出来ますが、場合分けをする必要が生じるので式の処理が煩雑になります.なので、絶対値を取らずにマイナス記号は付けたままにします.

この事を図1に図示してみます.

f:id:akanemachi:20190420170228p:plain

 


《P=6n+1》
前述のことより、全ての素数を一つの式 P=6n+1 で表わすことが出来るようになりました.

ここで、P=6n+1 どうしの積は P=6n+1 の形に表すことができることに着目してみます.

式で示せば、
(6a+1)x(6b+1)=36ab+6a+6b+1=6(6ab+a+b)+1=6n+1
です.

そこで P=6n+1 となる数の集合を考えて、そこから合成数を除外して行けば、素数が残ることになります.

例として、合成数の除外方法を図2に示します.

f:id:akanemachi:20190420170327p:plain

 


素数計算関数》
以上のことから、素数計算関数 π(P)=N の求め方の手順を次に示します.

手順1: P=6n+1 を決める.
手順2: 数直線上で、-P+2 から P の範囲内に存在する 6n+1型の数字の個数を数えます.
手順3: 数直線上で、-P+2 から P の範囲内に存在する 6n+1型の合成数の個数を数えます.
手順4: 手順2の個数から手順3の個数を減じます.
手順5: 手順4の個数から単位元の個数(1個)を減じます.
手順6: 手順5の個数に素数の2と3の個数(2個)を加えます.その結果が π(P)=N です.

例として、π(37)=N を数えてみます.(図3参照)

f:id:akanemachi:20190420170400p:plain

 


《感想》
手順3で合成数を数える時に倍数が周期的に表れることを考慮すると、π(P) の極限値を正確に求めることが出来るような気がします.

しかし具体的にどのように処理したら良いのか、考え付いておりません.
以上です.


―― あとがき ――
素数について「P=6n+1」
著者:茜町春彦

 
投稿サイト「パブー」で公開した作品です.こちらに移植しました.
初出:
「数学エッセイ(素数:6n+1)」2013年7月