タイル張り「等辺凹5角形(二重同心円外側放射状)」
概要:
1種類の図形を使用して、平面を等量等形分割する方法について解説します.
使用する図形を等辺凹5角形と呼ぶことにします.
この図形の基本的形状、作図方法、並べる手順、応用作品例を提示します.
ギャラリー1
ギャラリー2
ギャラリー3
《等辺凹5角形の形状》
等辺凹5角形の内角と辺は下記の通りとします.
内角:36°、252°(外角は108°)、36°、108°、108°
辺:すべて同じ長さ
《等辺凹5角形の作図法1》
まず正5角形を考えます.
この正5角形の隣り合う2辺を内側に折り返します.
内側に折り返した2辺と残りの3辺で囲まれた図形が等辺凹5角形となります.
《等辺凹5角形の作図法2》
前述とは別の描き方を説明します.
まず2種類の3角形を考えます
ひとつは鋭角2等辺3角形で、内角と辺は下記の通りとします.
内角:36°、72°、72°
辺:1、1、(√5-1)÷2
もうひとつは鈍角2等辺3角形で、内角と辺は下記の通りとします.
内角:108°、36°、36°
辺:1、1、(√5+1)÷2
この2つの3角形の底辺を重ねます.
鋭角2等辺3角形の72°の角と鈍角2等辺3角形の36°の角を合わせます.
《並べ方1》
等辺凹5角形を使用して平面を等量等形分割する手順を説明していきます.
まず等辺凹5角形の凸鈍角を、別の等辺凹5角形の凹鈍角に合わせて2辺を重ねます.
《並べ方2》
更に等辺凹5角形の凸鈍角を、前述の並べ方1で組み合わせた図形の凹鈍角に合わせて2辺を重ねます.
《並べ方3》
並べ方2と同様に、次々と等辺凹5角形を重ねます.
《並べ方4》
等辺凹5角形を10個重ねると、外形が10角形になります.
《並べ方5》
並べ方4の10角形の1辺に等辺凹5角形の側面を重ねます.
《並べ方6》
並べ方5で重ねた等辺凹5角形の凹鈍角に、更に別の等辺凹5角形を次々と重ねます.
《並べ方7》
等辺凹5角形を30個重ねると、外形が同心円状の10角形になります.
《並べ方8》
並べ方7の10角形の1辺に等辺凹5角形の底辺を重ねます.
《並べ方9》
並べ方8で重ねた等辺凹5角形の凹鈍角に、更に2個の等辺凹5角形を重ねます.
《並べ方10》
並べ方9で重ねた二つ目の等辺凹5角形の側面に、更に2個の等辺凹5角形を重ねます.
《並べ方11》
並べ方10と同様に、次々との等辺凹5角形を重ねます.
《並べ方12》
並べ方11で重ねた等辺凹5角形を、二重同心円状10角形の側面1つ置きに、放射状に重ねます.
《並べ方13》
並べ方12で重ねた放射状の等辺凹5角形の間に2個の等辺凹5角形に入れ込みます.
《並べ方14》
並べ方13で重ねた等辺凹5角形の外側に、更に5個の等辺凹5角形に入れ込みます.
《並べ方15》
並べ方14で重ねた等辺凹5角形の外側に、更に7個の等辺凹5角形に入れ込みます.
《並べ方16》
並べ方15で重ねた等辺凹5角形の外側に、同様にして次々と等辺凹5角形に入れ込みます.
更に同様にして、残りの放射状の隙間に等辺凹5角形を並べていきます.
そして、これは無限に並べ続けることが可能だと思います.証明は行なっておりません.
(了)
―― あとがき ――
タイル張り「等辺凹5角形(二重同心円外側放射状)」
著者:茜町春彦
1種類の図形を用いたタイル張りの解説をしました.
投稿サイト「パブー」で公開した作品です.こちらに移植しました.
初出:
「幾何エッセイ『等量等形分割:等辺凹5角形(二重同心円外側放射状)』」2016年9月18日発行